糖尿病 diabetes
- TOP
- 糖尿病
糖尿病になると自力の生活習慣の改善では治らない
食事をしますと、糖質は分解されてブドウ糖となり血液に運ばれて全身へとめぐり、膵臓から分泌されるインスリンの働きで各細胞内へと取り込まれ、活動のエネルギーとなります。エネルギーとして使われず余ったブドウ糖も、インスリンの働きで脂肪細胞に溜め込まれます。
ところが、何らかの原因でインスリンの分泌量が少なかったり、働きが悪かったりしますと、ブドウ糖が細胞内に吸収されずに血液内に溢れ出てしまいます。この状態が続きますと、血液中のブドウ糖の量が増え(高血糖の状態)、身体の様々な部分に悪影響が出てきます。
これが糖尿病という病気です。単に高血糖だから、という理由だけで「糖尿病」ではないのです。
他の生活習慣病では、軽度なうちであれば生活習慣の改善や運動療法によって元に戻り、治ることもあるのですが、糖尿病に限っては一度糖尿病になりますと自力での回復は絶対にありません。
残念ですが、
「血糖値の改善=糖尿病が治った」ではありません。
糖尿病とは、インスリンが十分に分泌できない、あるいは効きにくいために血糖値が高くなる病気です。
- インスリンが分泌されない理由
- インスリンを分泌する膵臓の細胞が壊れてしまう(ランゲルハンス島β細胞)
- 一生で分泌されるインスリンの量は決まっている(加齢)
しかも、糖尿病は遺伝も大きくかかわっており、家族・親族に糖尿病の人がいますと遺伝的な要因でインスリンの分泌量が少ない可能性があるのです。
糖尿病の種類は2種類
インスリンはすい臓のランゲルハンス島β細胞で作られて分泌され、血液中の血糖値を正常の範囲内に保つ役割をしますが、インスリンの作用不足あるいは不良により血糖値が下がらないのが糖尿病です。
糖尿病には大きく分けて次の2つのタイプがあります。
- 1型糖尿病(全体の5%ほど)
何らかの理由によりβ細胞が破壊されインスリンを作ることができない、原因はわかっていない。
以前はインスリン注射が必須のため「インスリン依存型糖尿病」と呼ばれていました。 - 2型糖尿病(全体の95%でほとんどがこちら)
インスリンの分泌量が不十分(インスリン分泌不全)、あるいは作られたインスリンが十分に作用しない(インスリン抵抗性)場合で、40歳を過ぎてから発症することがほとんどです。糖尿病になる要因は複数あり、食生活などの環境因子と遺伝の組み合わせで起こると考えられています。
糖尿病は肥満のせいと結びつけることがありますが、砂糖などの甘いものの食べ過ぎといったことだけが原因ではありません。このため、太っているから「糖尿」はイコールではありません。
2型糖尿病と診断された時点で、膵臓のインスリンを分泌する機能は半分程度に落ちていると考えられます。一度壊れてしまった細胞が元に戻ることはなく、健常な人よりも膵臓は弱った状態であることから、一度糖尿病になりますと以降は上手く付き合っていかなければなりません。
血糖値とHbA1c
「朝食は食べないで来てください」と健康診断のある日には言われているかと思います。一般的に「空腹時血糖」という数値を健康診断では測っています。12時間食事を食べていない状態の血糖値を測ります。
この「空腹時血糖」が高かった場合には、さらに二次検査としてブドウ糖負荷試験を行います。空腹時に75gのブドウ糖液を飲み(OGTT)、30分後 /60分後 /120分後採尿・採血を行って血糖値を調べます。
血糖値はその時の血糖の状況が判るだけですが、過去2~3ヶ月の血糖の状況を見るためには「ヘモグロビンA1c」という数値を調べます。
血糖値が高くなりますと、ブドウ糖は赤血球の中のヘモグロビンと簡単に結合します。これが「ヘモグロビンA1c(HbA1c)」と呼ばれるもので、赤血球がどれだけ高血糖の中にいたのかが判ります。また、赤血球の寿命は約120日ですので、検査直近3ヶ月間くらいの血糖の状況が判ります。
これらの検査結果から、糖尿病は判断されます。
正常 | 空腹時血糖値が110mg ⁄ dl未満 および ブドウ糖負荷試験血糖値が140mg ⁄ dl未満 |
---|---|
境界型 (糖尿病予備軍) |
空腹時血糖値が110mg ⁄ dl以上~126mg ⁄ dl未満、 ブドウ糖負荷試験血糖値が140mg ⁄ dl以上~200mg ⁄ dl未満 |
糖尿病型 | 空腹時血糖値が126mg ⁄ dl以上 ブドウ糖負荷試験血糖値が200mg ⁄ dl以上 HbA1c値(%)が6.5以上 |
こうした数値に加え、肥満や他の病気(高血圧や脂質異常症など)の有無などから医師が診断を行います。
糖尿病が引き起こす恐ろしい合併症
糖尿病は初期には自覚症状がなく、見えないところで合併症が進行しています。このため、そのまま放置してしまい数年~10年程度で、気が付いた時には日常生活に支障があらわれているということも少なくありません。
糖尿病性神経障害
高血糖の状態が長く続いていますと、手足の血行が悪くなり痛みやしびれなどの感覚異常が起こります。悪化すると壊疽を起こし下肢切断などになります。
糖尿病性網膜症
血行障害から眼底の血管が詰まり、視力の低下から最悪は失明に至ります。自覚症状がないままに進行していくため、年に1回以上は眼底検査を行うことをお勧めします。
糖尿病性腎症
高血糖のため腎臓の細い血管が詰まり血液の濾過が正常にできなくなります。悪化すると人工透析になります。
動脈硬化・脳卒中・心臓病
糖尿病は動脈硬化の原因となり、血管系の疾患を引き起こします。これが泌尿器に出ますとインポテンツ、排尿障害、膀胱炎などになります。
2型糖尿病の場合、50歳より以前に糖尿病を発症した場合には、平均余命が10年短縮するといわれています。人工透析になった場合には、通常の人と比べて寿命は半分になるといわれています。
スコットランドのダンディー大学が2015年に行った調査では、1型糖尿病の場合20代での平均余命が男性で11.1年、女性では12.9年短くなることが報告されています。
いずれにしましても、糖尿病になると10年は寿命が短くなるということになります。
インスリンの発見から100年
糖尿病の治療は、高血糖が引き起こす様々な合併症を予防する、あるいは悪化を阻止することにあります。そのため、「インスリンの作用不良」を改善して血糖値を可能な限り正常値へ持っていくことです。
基本的には、食事療法と運動療法による生活習慣の改善を行い、それでも正常な血糖値に達しないときには、内服薬や注射薬による薬物療法が行われます。
薬物療法に進んでしまったら一生、薬を続けなければいけないのでしょうか?
糖尿病の初期の段階であれば、薬の力を一時的に借りて膵臓を休ませることで、膵臓の機能が回復する場合があります。食事と運動療法を併用し、投薬は最小限あるいは無くすこともできます。
ですから、糖尿病も他の生活習慣病と同じく早期発見、早期治療が重要となってきます。
医療分野では技術が日進月歩で進んでおり、もしかしましたら近い将来には糖尿病を完治できる技術が出てくるかもしれません。
- IPS細胞からランゲルハンス島β細胞を作り出す研究
- 老化した細胞を修復し若返らせ、糖尿病を改善させる
- ブタのすい臓を移植してインスリンを作る技術
などの研究が進んでいます。
その昔、100年前には糖尿病はやせ衰えていくのを見ているだけで死を待つだけの病気でした。ミイラのような状態になり痛々しい肉体となる、恐ろしい不治の病だったのです。
それが大きく変わったのが、100年前のインスリンの発見です。インスリン製剤により血糖コントロールが可能になったことで、糖尿病をコントロールできるようになりました。
アクセス
ふじみ野中央クリニック 概要
- 院長
- 佐藤勝輝 京都大学 博士(医学)
- 非常勤医
- 6名
- 看護師
- 7名
- 標榜科
- 内科(総合、糖尿病、循環器、呼吸器)
アレルギー科、訪問診療 - 資格
- 総合内科専門医・アレルギー専門医
身体障害者指定医(肢体不自由) - 住所
- 〒354-0035 埼玉県富士見市ふじみ野西1-18-1
- 電話
- 049-256-5500
診療時間
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日祝 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
9:00 ~13:00 | ● | ● | / | ● | ● | ● | / |
15:00 ~18:00 | ● | ● | / | ● | ● | / | / |
※外来休診日 水曜日、日曜日、祝日